執筆したMTAセメントに関する記事が掲載されました
歯科医師向けの学術商業誌「日本歯科評論」に、私が執筆したMTAセメントの記事が掲載されました。
MTAセメントとは、歯の神経(歯髄)の保護剤として使用される歯科用セメントのことです。
アメリカでは20年以上前に販売された材料ですが、優れた生体機能特性を有するため様々な難症例で良好な成績を示してきました。結果、世界的に急速に普及したのですが、日本では15年位前から歯の神経を保護するための材料として使用されています。
海外では保護剤としてだけでなく、穿孔(歯に開いた穴)を埋めたり、根の中を封鎖したり、と様々な用途に使用され、多くのエビデンスが報告されてます。(参考文献1)
今回は歯根端切除術(https://takarazuka-endo.com/menu/type/)におけるMTAセメントの応用について執筆させていただきました。
歯根端切除術とは通常の根管治療では治らない難症例に行われる外科的歯内療法です。
外科的に歯根の感染部を切り取ってしまう手術です。
近年ではマイクロスコープを用いたモダンな術式が確立され、素晴らしい治療成績がたくさん報告されています。(参考文献2)
歯根を切り取った切り口から細菌などが漏れ出ないようにするため、MTAセメントでしっかりと断端を封鎖するようにします。
MTAセメントは素晴らしい歯科用材料ですが、決して魔法の薬ではありません。
どんな材料や薬もそうですが、最大限の効果を発揮させるために我々がきちんと適応症を見極めることが最も大切だと考えています。
参考文献1:Torabinejad, M., Parirokh, M. & Dummer, P. M. H. Mineral trioxide aggregate and other bioactive endodontic cements: an updated overview – part II: other clinical applications and complications. Int Endod J 51, 284–317 (2018).
参考文献2:Setzer, F. C., Shah, S. B., Kohli, M. R., Karabucak, B. & Kim, S. Outcome of Endodontic Surgery: A Meta-analysis of the Literature—Part 1: Comparison of Traditional Root-end Surgery and Endodontic Microsurgery. Journal of Endodontics 36, 1757–1765 (2010).